日本には多くの童謡がありますが、 『通りゃんせ』のように、実は恐ろしい意味が隠されている歌も存在します。
『むすんでひらいて』も有名な子供の遊び歌ですが、実は怖い都市伝説が存在します。
同じ内容をひたすら繰り返すシンプルな歌詞は、さまざまな考察がなされるほど聴き手にその解釈が委ねられています。
実は、『むすんでひらいて』は、時代によって、歌詞の意味や内容も変化してきていたのです。
今回は、童謡『むすんでひらいて』の歌詞に隠された意味と、怖い都市伝説を紹介していきます。
童謡『むすんでひらいて』の歌詞の怖い意味
『通りゃんせ』は、子供の遊び歌で、作詞者は不詳。作曲者はフランスの思想家で有名なジャン=ジャック・ルソーです。
遊び方は簡単で、手を開いたり閉じたりしながら、体の上や下に持っていく、というものです。
とてもシンプルで、幼い子供でもできる手遊び歌ですね。
きっと、皆さんの中にも幼い頃に幼稚園や保育園で、この遊びを楽しんだ思い出がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
『むすんでひらいて』は、日本の伝統的な童謡の中でも特に有名なものの一つです。
むすんで ひらいて 手をうって むすんで
またひらいて 手をうって、その手を 上に
むすんで ひらいて 手をうって むすんで
同じ内容をひたすら繰り返す、いたってシンプルな歌詞です。
ところが、この歌には少し不思議なところがあります。それは、歌詞の内容が怖いと感じる人がいるということです。
なぜ『むすんでひらいて』の歌詞が怖いと思われているのか?
『むすんでひらいて』の歌詞にまつわる都市伝説は、以下の通りです。
- 囚人のことを歌っている説
- 2番の歌詞が怖い
- アメリカ版の歌詞が怖い
- 実は軍歌だった説
これらの都市伝説について、詳しく見ていきましょう。
囚人のことを歌っている説
『むすんでひらいて』の歌詞は、「囚人のことを歌っている」という説がネット上にはあります。
囚人の手をひもで結び、その手を無理矢理に開かせる。
そして釘でその手を打つ。
同様に反対の手も釘で打つ。
そして最後は縛った手を吊し上げて、みせしめにする。
本当だとしたら、身の毛もよだつ内容ですが、
出どころは不明で、真偽の程も不明です。
2番の歌詞が怖い
基本的に、歌詞は2番以降もほぼ同じです。
「その手を 上に」の部分が、2番では、
またひらいて 手をうって、その手を 下に
3番では、
またひらいて 手をうって、その手を 頭に
4番では、
またひらいて 手をうって、その手を ひざに
となります。
手を置く体の部位が変わるだけで、特に怖い部分はありません。
おそらく2番以降の歌詞を知らない人が言った想像ではないかと思われます。
アメリカ版の歌詞が怖い
アメリカ版の歌詞が「ガチョウがみんな死ぬ話で怖い」という説。
これは、実際の歌詞と、ゲーム『バイオハザード』で使われた歌詞が混同して、生まれた都市伝説ではないかと思われます。
まず、『むすんでひらいて』のメロディーは、アメリカでは民謡「ローディーおばさんに言いに行っといで(Go tell Aunt Rhody)」となっています。
その歌詞は、
ローディーおばさんに言っといで
引用元:Wikipedia
年取った灰色のガチョウが死んじゃったって
おばさんが大事に置いといたガチョウ
羽毛布団を作ろうって
ガチョウは水車小屋の池で死んだよ
頭からつっこんで
ガチョウの雛達はわんわん泣いてるよ
お母さんが死んじゃったから
オスのガチョウはめそめそ泣いてるよ
奥さんが死んじゃったから
そして、ゲーム『バイオハザード』でこの1番が使われました。
その際、歌詞の「年取った灰色のガチョウが死んじゃった」の部分が、「みんな死んでしまった」に差し替えられています。
こういった経緯で、生まれた都市伝説だったのではないでしょうか。
実は軍歌だった説
『むすんでひらいて』は、実は軍歌だったという説があります。
これは都市伝説ではなくて、実際に戦闘歌だったという歴史的背景があります。
『むすんでひらいて』は、讃美歌~唱歌~軍歌の流れを経て、現在の形になったのです。
当初、『むすんでひらいて』のメロディーは、賛美歌『グリーンヴィル』として日本に伝わりました。
賛美歌として紹介された7年後の1881年に、『見渡せば』という題名で小学唱歌集に掲載されました。
見渡せば 青やなぎ、花桜 こきまぜて、
引用元:Wikipedia
みやこには 道もせに 春の錦をぞ
佐保姫の 織りなして、降る雨に そめにける
見渡せば 山べには、尾上にも ふもとにも、
うすき濃き もみじ葉の 秋の錦をぞ
竜田姫 織りかけて、つゆ霜に さらしける
しかし、歌詞は古今和歌集の和歌を基にしていたために、小学生には難しく、広まらりませんでした。
その後、軍国主義の台頭により、同じメロディーで「戦闘歌」が作られ、普及していきます。
見渡せば 寄せて来る、敵の大軍 面白や
引用元:Wikipedia
スハヤ戦闘(たたかい)始まるぞ イデヤ人々攻め崩せ
弾丸(たま)込めて撃ち倒せ 敵の大軍撃ち崩せ
見渡せば 崩れ懸る、敵の大軍心地よや
モハヤ戦闘(たたかい)勝なるぞ イデヤ人々追い崩せ
銃剣附けて突き倒せ 敵の大軍突き崩せ
この戦闘歌は、東京音楽学校教授であった鳥居忱が作詞し、1895年に軍歌集「大東軍歌」に掲載されました。
この戦闘歌は、歌うだけではなく、歌詞に合わせた振り付けがあり、小学校において遊戯曲として用いられていた記録が残っています。
ちなみに、このメロディーは韓国や中国でも歌として採用されました。
韓国の唱歌は『見渡せば』、中国は軍歌は「戦闘歌」の影響を受けたのではないかとされています。
そして1947年、戦後の小学校教科書で『むすんでひらいて』として新しい歌詞で登場したのでした。
ちなみに、海外では今も賛美歌として歌われています。
しかし、日本では1931年以降、賛美歌集に掲載されていません。
唱歌や軍歌として知られすぎてしまったと考えられています。
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