かんかんだら(姦姦蛇螺)は、2ちゃんねるオカルト板に立てられた「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」に投稿された、怪談です。
今回は、ヤマノケにまつわる恐ろしい夢の内容と、その後日談についてお話しします。
かんかんだらの怖い話【2ちゃんねる洒落怖より】
かんかんだらの怖い話は、2ちゃんねるのオカルト板「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?(洒落怖)」というスレッドに投稿された怪談です。
起:森の立入禁止区域で度胸試し
荒れた生活を送っていた中学3年生(当時)の投稿者と、同じく問題児として知られる友人A、Bの3人組がいました。
投稿者とAは親からも見放されていましたが、Bは母親だけは味方をしてくれていました。
しかしある日、そんな母親とBは激しい喧嘩になり、母親を精神的に痛めつけてしまいます。
そこへ父親が帰って来ました。服や髪がボロボロになった母親を見て、状況を察した父親は、「これを話すのは、お前が死んでも構わんと覚悟した証拠だ」と前置きし、
「森の中で、立入禁止になってる場所知ってるよな。あそこに入って奥へ進んでみろ。後は行けばわかる。そこで今みたいに暴れてみろよ。出来るもんならな」
と静かに言いました。
投稿者とAはと合流したBは、その場所に行ってみることにします。
山自体は普通に入れるし、森全体も普通なんだが、中に入って行くと途中で立入禁止になってる区域があるのです。
2m近い高さの柵で囲まれ、柵には太い綱と有刺鉄線、柵全体には連なった紙垂(しで)のような白い紙がからまっています。
極めて部分的なため、柵の並びが歪で、とにかく尋常ではない場所でした。
また、特定の日に、巫女さんが入り口に数人集まってるのを見かけたことがありましたが、何をしているのかは謎です。
「カルト教団の洗脳施設がある」といった、様々な噂が飛び交っていました。
スポンサーリンク
承:解かれた六角形の封印
時間は午前1時過ぎ。
立入禁止エリアまでは40分ほどかかります。しかし、森に入って5分もしないうちに、おかしな事になりました。
何か音が遠くから聞こえ始めたのです。
落ち葉を引きずる音と枝が折れる音・・・始めは気にしていませんでしたが、20分位進んだところで、その音が、3人の動きに合わせて鳴っていることに気付きます。
誰かにつけられているようです。音から察するに、相手は一人。
下手に正体を探ろうとするのは危険と判断し、3人はそのまま先へ進むことにしました。
そうしてようやく立入禁止エリアの柵が見えてきました。
主人公とAは異様な柵の様子に尻込みしますが、Bは持ってきた道具で柵を壊し始めました。
無数の鈴の音が鳴り響きます。
しかし柵は不自然なほどに頑丈で、びくともしません。
仕方なく3人は柵をよじのぼることにしました。
柵を越えると、いつの間にか付きまとっていた音は聞こえなくなっていました。
しかし、森の奥深くに進むにつれ、周囲の空気が変わっていくのを感じます。
2、30分ほど歩き、反対側の柵が見え始めたところで、3人は不思議なものを見つけました。
それは、6本の木に注連縄が張られ、その6本の木を6本の縄で括った、六角形の空間でした。
中央には賽銭箱のようなものが置かれています。
まさしく、Bの父親が言っていた場所です。
投稿者とAは「マジでやばいことになった」と激しい焦りを覚えますが、Bは箱を見てみようと言い出します。
調べたところ、箱はサビだらけで、チョークでそれぞれの面に家紋のような物が描かれています。
箱は地面に固定されていて持ち上がらず、中身も見えませんが、Bが後ろの面だけ外れることに気付きます。
取り外して中を覗いてみると、四隅に何かの液体の入ったペットボトルの様な壺が据えられ、中央には先端が赤く塗られた楊枝のようなものが、変な形に置かれていました。
/\/\>
と、6本、接する四ヶ所だけ赤く塗られています。
Bが爪楊枝を触ろうと手を伸ばし、形が崩れてしまいました。
その瞬間、「チリリリン!チリリリン!」と柵の方で鈴の音が鳴り響きました。
声をあげて驚く3人。Bが「誰だ!」と鈴の鳴った方向に走り出しました。
しかし、突然立ち止まり、震え出します。
スポンサーリンク
転:6本の腕を持つ女の妖怪「かんかんだら」
突如、木々の間から姿を現したのは、彼らが想像もしなかった恐ろしい存在でした。
懐中電灯に照らし出された先で、立ち並ぶ木々の陰から、女の顔がこちらを覗いていたのです。
顔を半分だけ出し、上下の歯をむき出しにするように、い~っと口を開け、目は据わっています。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
悲鳴をあげ、3人は一斉に、柵へと走り出しました。
急いでよじのぼり、入口へ戻ろうとしますが、Aがなかなか柵を越えることができません。
その時、
チリリン!!チリンチリン!!
と凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れ出しました。
先程見た“あいつ”です。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、6本の腕がありました。
蜘蛛のように動きなから、こちらへ向かって来ます。
Aはとっさに柵から飛び降り、3人で入口へ向かって全速力で走って逃げました。
入口には、それぞれの家族が駆け付けていました。
3人はそのまま車に乗せられ、集会所へと連れて来られます。
Bの母親が、自分の責任だと、投稿者とAの親に謝罪し、その後親同士で話が進められました。
投稿者達には何の説明もないまま、その日は解散となりました。
スポンサーリンク
結:かんかんだらの正体と由来
翌日の昼頃、投稿者にBの母親から、Bがおかしいと電話がかかってきました。
Bの母親の尋常ではない様子に、投稿者はBの家へ向かいました。
母親によると、Bは昨夜家に帰ってから、急に両手両足が痛いと叫び出したそうです。両手両足をぴんと伸ばした状態で倒れ、その体勢で「痛い痛い」とのたうちまわったとか。
同じく来ていたAと投稿者が呼び掛けますが、Bは「いてぇよぉ」と叫ぶばかりで、会話になりません。
Bの母親に昨夜、立入禁止区域で何をしたのか聞かれ、Bが「楊枝を触って形をずらした」ことを話すと、Bの母親は顔面蒼白になり、どこかに電話をし始めました。
2日後、何も聞かされず、投稿者とAは深い山奥の村にある屋敷へ連れて行かれました。
そこで、巫女と年配の男性(巫女の伯父)に、あの夜の詳細を尋ねられます。
すると、楊枝のくだりで、男性の態度が変わります。
Bが棒の形を変えてしまったことを話すと、「Bはもうどうにもならない」と言われてしまいます。
そして、彼らから驚くべき真実を聞かされます。
投稿者達が見た妖怪は、「かんかんだら(姦姦蛇螺)」というそうです。
あの箱は一定の周期で場所を移して、供養されてきたといいます。
その時々によって管理者は異なり、箱にあった家紋は、今まで供養の場所を提供してきた家々だったのです。
管理者以外には「かんかんだら」に関する話は一切知らされず、付近の住民にはいわくがあるということ、そして万が一の時の相談先だけが伝えられます。
巫女と男性は今の相談役ではありませんが、至急ということで連絡が回って来たようです。
過去にかんかんだらを祓った人間は、全員2~3年以内に突然死しており、当事者も助かっていないといいます。
そう男性が告げるも、Bの母親は「自分の責任だ」と頭を下げ、「何とかしてやれないか」と必死で頼み続けます。
そこで、投稿者達が女の下半身を見ていないことが判明します。
巫女の怨念を浴びてしまう行動は2つあり、
- やってはならないこと:巫女を表す棒の形を変えてしまうこと。
- 見てはならないのもの:その形が表している巫女の姿。
実際には、棒を動かした時点で、必然的に巫女の姿を見てしまうため、終わりです。
しかし、なぜか投稿者達はそれを見ていません。
巫女によれば、あの夜投稿者達が見たのは、確かに巫女本人です。しかし、「かんかんだら」ではありません。
投稿者達の命を奪う意志はなく、「巫女として」現われた。あの夜のことは、彼女にとっては「お遊戯」だったのだとか。
かんかんだらが手てきていないならば、Bは長期間はかかるものの、何とかなるかもしれないと言います。Bは男性と巫女に引き受けられることになりました。
「今後は怖いもの知らずもほどほどにしとけよ」と男性から忠告され、投稿者とAは巫女にお祓いをしてもらってから帰ることになりました。
スポンサーリンク
後日談
その後、投稿者とAは、Bには会わせてもらえず、どんなことをしたのかもわかりませんでしたが、
すっかり更正して今はちゃんとどこかで生活しているそうです。
Bの親父は、一連の騒動に一度たりとも顔を出して来ませんでしたが・・・。
「かんかんだら」の箱は、この一件から一年後、柵の撤去が始まったことから、今は別の場所に移された可能性が高いです。
スポンサーリンク
姦姦蛇螺にまつわる過去
大蛇に食われた巫女
人を食らう大蛇に悩まされていたある村の村人達は、神の子として様々な力を代々受け継いでいた、ある巫女の家に退治を依頼しました。
依頼を受けたその家は、特に力の強かった一人の巫女を大蛇討伐に向かわせます。
村人達が陰から見守る中、巫女は大蛇を退治すべく懸命に立ち向かいました。
しかし、わずかな隙をつかれ、大蛇に下半身を食われてしまいます。
それでも巫女は村人達を守ろうと、様々な術を使い、必死で立ち向かいました。
ところが、下半身を失っては勝ち目がないと決め込んだ村人達は、あろう事か、巫女を生け贄にする代わりに村の安全を保障してほしいと、大蛇に持ちかけたのです。
強い力を持つ巫女を疎ましく思っていた大蛇は、これを承諾し、食べやすいようにと村人達に腕を切り落とさせ、達磨状態の巫女を食らいました。
そうして村人達は、一時の平穏を得たのです。
しかし、後になって、この交渉は巫女の家の者が思案した計画だったことが明かされます。
この時の巫女の家族は六人。
異変はすぐに起きました。
大蛇がある日から姿を見せなくなり、襲うものがいなくなったはずの村で、次々と人が死んでいったのです。
村の中で、あるいは山の中で、あるいは森の中で。
死んだ者達はみな、右腕か左腕のどちらかが無くなっていました。
巫女の家族6人を含む18人が死亡し、生き残ったのは4人だけでした。
スポンサーリンク
箱が意味するもの
箱は基本的に山もしくは森に移され、
- 6本の木と6本の縄:村人達
- 6本の棒:巫女の家族
- 四隅に置かれた壺:生き残った4人
- 6本の棒が成す形:巫女
をそれぞれ表しているのだそうです。
なぜこのような形式がとられるようになったのかは不明です。
一説によると、生き残った四人が、巫女の家で怨念を鎮めるためのありとあらゆる事柄を調べ、その結果生まれた独自の形式ではないか…ということです。
大蛇=山の神?
特定の日に集まっていた巫女は、相談役になった家の人でした。
かんかんだらは、危険だと重々認識されていながら、ある種の神に似た存在とされています。
大蛇は、山や森の神だったそうです。それで年に一回、神楽を舞ったり、祝詞を奏上したりするのだとか。
かんかんだらは柵の中で放し飼いのようになっていますが、六角形と箱の棒が封印になっており、棒の形や六角形を崩したりしなければ、姿を見せることはほとんどないそうです。
供養場所は、何らかの法則によって、山や森の中の限定された一部分が指定され、入念に細かい数字を出して範囲を決めます。
基本的にその区域からは出られませんが、柵などで囲んでいる場合は、投稿者達が見たように外側に張りついてくることもあるそうです。