ネット上で、「カービィ 空を見上げる」と検索してはいけないというウワサがあります。
しかし、実はこれは全くのデマなのです。
にもかかわらず、なぜこのようなウワサが広まってしまったのでしょうか?
今回はデマが広まってしまった経緯と、真相を解説していきます。
「カービィ 空を見上げる」と検索してはいけない?
結論から言うと、「カービィ 空を見上げる」は、別に検索してはいけない言葉でも何でもありません。
一部のネット上の憶測が拡散され、このようなウワサが広まってしまったのです。
しかし、それらは全てデマです。
なぜこのようなウワサが広まってしまったのか?
経緯を順番に見ていきましょう。
漫画23巻の意味深コメント
『月刊コロコロコミック』で1994年から連載されていた、『星のカービィ: デデデでプププなものがたり』という漫画があります。
作者はひかわ博一さん。連載期間は、
- 月刊コロコロコミック:1994年5月号~2006年11月号まで連載。
- 別冊コロコロコミック:1994年11月号~2006年4月号まで連載。
で、10年以上連載されていた人気漫画です。
この『星のカービィ: デデデでプププなものがたり』のコミックス23巻に、ある意味深コメントが掲載されたのです。
ふだん仕事ばっかりしていると、外に出て空を見上げるということがありません。
『星のカービィ: デデデでプププなものがたり』23巻より
たまに見る機会があったりすると、うわー空ってこんなに青かったかなーって思ったりします。
子供のころは、よく空を見ていたんですけどね。
大人になると下ばかり向いて、空を見上げる余裕がなくなるみたいです。
皆さんが大人になったとき、ああそういえば、星のカービィっていう漫画があったなーと思い出してくれれば幸せです。
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絵柄やコミックス表紙の変化
そして、24巻の7話から、絵柄に大きな変化が見られるようになりました。
線や背景の描写が雑になったり、キャラクターの目の輝きが失われたりしたんです。
さらに、スクリーントーンの使用が減ったり、貼り忘れがあったりと、絵が随分と簡略化されていったんですね。
結果として、まるで別の人が描いたかのような仕上がりになってしまったんです。
実は、背景の簡略化などは、24巻7話よりも前から少しずつ見られていたそうです。
そして、コミックスの表紙にも変化がありました。
以前はCGを使うなどかなり豪華な表紙だったんです。
ところが、23巻からは一変して、黄色地に白の水玉という、とてもシンプルなデザインになりました。
この水玉デザイン、実は作者がファンレターを送ってくれた読者への年賀状イラストの流用だったそうです。
そして、最終回も半ば打ち切りのような形で終わってしまいました。
作者の言葉よりデマが広まってしまった理由
これらの変化に、ネット上では様々な憶測が飛び交いました。
- 編集部との関係が悪化したのではないか?(パワハラ疑惑)
- 作者が鬱病になったのではないか?
などなど。
全て無責任な、ただの憶測に過ぎません。
作者本人もこれらの噂を否定したのですが、センセーショナルな説の方が信じられてしまい、作者の言葉はあまり注目されませんでした。
しかし、2017年になって真相が明かされたのです。
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カービィの絵が変わった真相
『ゲッサン』2017年7月号掲載のルポ漫画『カメントツの漫画ならず道』で、作者自身が事実を語っています。
コロコロコミックでカービィを連載していたひかわ博一先生に、例の噂の真相を取材したインタビュー漫画が12日発売のゲッサン7月号に掲載されております。この漫画が雑誌掲載するにあたって色々な人にご協力いただきました。ありがとうございます。なにとぞ pic.twitter.com/ari6hyQ8dW
— カメントツ (@Computerozi) June 13, 2017
『カメントツの漫画ならず道』2巻より
- 漫画に対するモチベーションが下がり、10巻頃からは1人のアシスタントの手によって作画のほとんどが作られていた
- アシスタントが辞めたことで再び自らペンを執るようになったが、徐々に作風が暗くなり追い詰められていった
さらに、『コロコロアニキ』2018年春号掲載の『コロコロ創刊伝説』でも、作者の苦悩が語られています。
『コロコロ創刊伝説』4巻より
- ある時期から崖から転げ落ちるように漫画に対する情熱を失っていった
- 話作りこそ担っていたものの、17~18巻頃から絵の大部分を1人のアシスタントが描いていた
- 話が作れなくなったのでゲストを呼んで強引にネタを作り、カービィにツッコませた
- しかしカービィがツッコミに回ったことで表情が死んでしまい、描くのが辛くなった
連載再開へ
そして2018年、作者は11年ぶりに復帰作を発表しました。
「11年前に突然やめた作品を綺麗に終わらせたい」という思いから描き始めたもので、当初は一話限りで終わるつもりだったそうです。
- 見開きページに「ありがとうカービィ」の一文
- 「これで思い残すことはないペポ。次はゲームの最新作で会おう」とカービィが去っていくオチ
- ネーム段階では最後のコマに「完」
しかし、掲載時には「完」が取り払われ、その後正式に連載が再開されることになりました。
そして、2006年の連載終了以来12年振りに、作者自選による傑作集や描き下ろし漫画を収録した『傑作選 デデデ編』が発売されました。
以後、傑作選は全7巻発売されています。
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まとめ
絵柄が変化した背景には、漫画家さんの作品づくりの苦悩があったにもかかわらず、無責任な憶測で、全くのデマが広められてしまったのです。
嘘がさも真実であるかのように広められてしまうのが、ネットの恐ろしいところです。
ネット上のウワサを鵜呑みにせず、何が真実か、見極めるようにしたいですね。